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カテゴリ:ベートーヴェンとシューマンの恋( 12 )

ドイツリートの会 ベートーヴェン

そういえば、昨年は、詩人の恋について解説をしました。
今年は、なんと怠けていることか!
もう、ヤイテレスについて説明したら終わった気分になっていました。

遥かなる恋人に寄すも、全部対訳つけました。
これは1つの詩ですが、6つのパーツからなっています。
そして、5番までで詩は完結していて、6番目だけは付け足しのような
趣向で、まるで願いを強調して現実を受け止めるかのようなフレーズです。

ここで訳を書いても、もう今日のことですので(汗)、
今年はちょっと頑張ってコンサートが始まる前用にスライドを作っております。
ドイツの風景と、訳詩を少々。
そこでこのベートーヴェンに触れたいと思います。

今まさに時刻は当日の日付をまたぎましたが、ただ今製作中です。

もう一度、前回までのブログを見ていただいて
明日の予習をしてくだされば幸いです!
カテゴリー名を変更しました。
 ベートーベンとシューマン

ここに、詩人の恋と、ベートーヴェンの遥かなる恋人に寄すを集約しました

では、今日皆様にお目にかかれますこと楽しみにしております!






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by fujiya-momo | 2013-03-31 00:43 | ベートーヴェンとシューマンの恋

ドイツリートを聴く会Vo.3 その2

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今回の出演者は、  財津徹さん           望月未希矢さん   です。

前半もう1曲は、ベートーヴェンのピアノ曲 ピアノソナタ30番 OP.109 
望月未希矢さんの演奏です。
これは、ベートーヴェンの最晩年の作品の1つです。

そして、後半は、シューマンの「詩人の恋」
これはハイネの詩に、シューマンが曲をつけたものです。
このブログで、昨年毎日のように(笑)歌詞の説明と世界観を
お届けしましたね。
もう一度懐かしく、思い出していただければ幸いです
カテゴリー 詩人の恋

そしてその中に、1回だけ「恋について」ご紹介したところがあります。
シューマンとハイネの恋愛観

冒頓なまでの穏やかな詩に
自身の境遇を重ねるかのように作曲したベートーヴェンと

花嫁への愛のあかしとして作曲したシューマンと、
不幸な恋愛体験をもとに書きためたハイネ。

素晴らしい音楽の根底に流れる恋の物語たち。
今年は「恋と音楽」についてもっと深く知り、ドイツリートの美しさと繊細さを
体験していただきたいと思います。
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by fujiya-momo | 2013-02-09 21:58 | ベートーヴェンとシューマンの恋

ドイツリートを聴く会vo.3

恒例となりました、3月のドイツリートを聴く会

3回目の今回は、「ベートーヴェンとシューマンの恋」というタイトルです
前回はピアノと歌曲を題材にシューマンを取り上げましたが
今回はずばり「恋」について、2人の作曲家の
歌曲の詩とメロディーの素晴らしさを堪能していただきます。

ベートーヴェンの「遥かなる恋人に寄す」An die ferne Geliebte op98は、
1816年に書かれた全六曲の連作歌曲集です。
連作歌曲の先駆けともいわれるこの曲は、のちのシューベルトやシューマンに
多大なる影響を与えます。
また、シューマンにおいては、このメロディーに魅了され、ご存じの通り、
自作のピアノ曲「幻想曲ハ長調OP.17」や、弦楽四重奏2番等をはじめとして
この歌曲のテーマの引用がたくさんあるといわれています。

詩はアロイス・ヤイテレスによって書かれたもの。
彼は当時医学生であり、
戦争(または疫病)の患者へ、慈善で医療活動をしていたヤイテレスに
ベートーヴェンが支援したことに対しての
返礼の中にこの詩があったといれわれています。

そう、これは大詩人たちが書いたのではなく 素人の医学生の詩。
ベートーヴェンは1812年に「不滅の恋」に破れてから、3年もの間
スランプでほとんど作曲をしていない時期だったと書かれています
その時もらったこの詩が、その自分の境遇と重ね合わせ心に響いたのか
直接的で素朴な表現に、その重い心を動かす何かがあったかもしれません。

そして、後半は、シューマンの「詩人の恋」に続きます。

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ドイツリートを聴く会Vo.3
ベートーヴェンとシューマンの恋
3月31日(日)15時開演
料金 会員2000円 一般2500円
出演 財津徹(テノール)、望月未希矢(ピアノ)、若林真樹(お話)










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by fujiya-momo | 2013-02-08 10:56 | ベートーヴェンとシューマンの恋

詩人の恋 シューマンについて

すっかり遅くなってしまってごめんなさい。超直前レポートです。

今までは、ハイネの詩について、訳してきましたが
詩人の恋最終回、シューマンの曲について、ただいまリハ中の財津徹さんに伺います

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「明日は、重松先生が解説ですね。財津さんは、しゃべらない・・・?」

「あ、はい」

「ということで、今日のうちに(笑)、シューマンのことを一言お願いします!」

「はい・・・、ええ、前回シューベルトの「水車小屋の娘」を歌わせていただきました。
シューベルトの曲にも、歓喜と絶望が上手に表現されていますが、
後輩になるシューマンはそれとは違って、独特の『憧れ』を求める
ところが感じられます。
その、シューマン独自の世界観や美への追及は、
恐ろしくなるほどきれいな部分と、ぞっとするほどの怖さを
兼ね備えた部分があります。」

「たとえば、どこか具体的にありますか?」

「今ちょうど歌っているところでいえば・・・
この12番の『輝く夏の朝に』という曲のピアノ部分は、
きらきらとした夏の朝の光が感じられます。
しかし、ただ美しい部分だけでなく、そのピアノのベースの
音の中にも、暗くなったり明るくなったりする要素が含まれていて、
まるで、どんより曇って変わりやすいというドイツの天気を表している
ようにも感じられます。
それは、最終曲16番の最後の最後にピアノ部分だけの
小節がありますが、そこにも同じ繰り返しがでてきます。
歌詞でもピアノのフレーズでも、ひとつづつ棺桶に苦しみを
葬りさる描写がされていますが、その後にすぐでてくる
美しい光の描写!
その光と影の共存は怖くなるほど高潔です。


シューマンの作品は情熱的かつ哲学的といわれるのは
そういうところだと思います。
また、シューマンの、歌曲の伴奏に使われるピアノの音ひとつひとつに、
ためいきやよろこぴのフレーズが巧みにあらわれています。
今回のコンサートでは、ピアノ曲と歌曲と両方を聴いていただきますが、
歌曲を聴いてからピアノ曲を聴くと、
歌詞こそないにせよ、その詩的な部分をとても強く感じることができるのです。」

「なるほど・・・、ピアノ曲もそういう聴き方をするとまた楽しめそうです。
あれ、でも明日のプログラムは、ピアノ曲からですよね・・・」

「あ、そうでした(汗)、先にこのブログを見てくださった方へのメッセージということで・・・!
では、リハに戻ります。」
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「ありがとうございました」

では、皆様、また日曜日16時に、お会いしましょう!

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by fujiya-momo | 2012-03-24 23:21 | ベートーヴェンとシューマンの恋

詩人の恋 その7

いよいよ、やっと?(笑)最後になりました。
最後の最後、第15番-第16番は、とっても長い詩です。
14番までは、陰に陰に自虐的に失恋した自分を責めていましたが、
ここではそこから脱出しようとする意志を感じさせます。
15番では、夜な夜なおとぎ話の国を空想し、幸せの自分像を見出します。

15.Aus alten Märchen winkt es  古いおとぎ話の国から

Aus alten Märchen winkt es
Hervor mit weißer Hand,
Da singt es und da klingt es
Von einem Zauberland;,

 古いおとぎ話の国から
 白い手が手招きする
 そこは歌や音が響いてくる
 魔法の国

Wo bunte Blumen blühen
Im goldnen Abendlicht,
Und lieblich duftend glühen,
Mit bräutlichem Gesicht;

 その国には色とりどりの花が咲いていて
 黄金色に輝く夕映えの中で
 花々は愛らしく芳しい薫りをはなつ
 みな花嫁のような顔をして

Und grüne Bäume singen
Uralte Melodei’n,
Die Lüfte heimlich klingen,
Und Vögel schmettern drein;
 
 そして緑の木々は
 大昔のしらべを歌い
 風はひそやかに響き
 鳥はそこでさえずる

Und Nebelbilder steigen
Wohl aus der Erd’ hervor,
Und tanzen luft’gen Reigen
Im wunderlichen Chor;
 
 霧や霞が
 大地から立ちのぼり
 軽やかなワルツを踊って
 世にも素晴しい大合唱となる

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Und blaue Funken brennen
An jedem Blatt und Reis,
Und rote Lichter rennen
Im irren, wirren Kreis;
 
 青い火花が
 すべての葉や枝に燃え上がり
 入り乱れ輪をなして
 いくつもの赤い光が駆け回る

Und laute Quellen
Aus wildem Marmorstein,brechen,
Und seltsam in den Bächen
Strahlt fort der Widerschein.

 泉が音高く
 険しい大理石の岩から溢れだし
 小川は光を反射して
 不思議な輝きを放っている

Ach, könnt’ ich dorthin kommen,
Und dort mein Herz erfreu’n,
Und aller Qual entnommen,
Und frei und selig sein!
 
 ああ、その国へ行けたなら
 そこでこの心を楽しませ
 すべての苦悩は忘れ去り
 自由で幸せでいられるなら!

Ach! jenes Land der Wonne,
Das seh’ ich oft im Traum,
Doch kommt die Morgensonne,
Zerfließt’s wie eitel Schaum.

 ああ!喜びに満ちたあの国を
 僕はよく夢に見るが
 でも朝日が昇ってくるとすべてが
 はかない泡となって消えてしまう


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16.Die alten, bösen Lieder, 昔の忌まわしい歌

Die alten, bösen Lieder,
Die Träume bös’ und arg,
Die laßt uns jetzt begraben,
Holt einen großen Sarg.

 昔のいまわしい歌たちを
 嫌な苦しい夢たちを
 今こそ葬ってしまおう
 大きな棺桶をもってきてくれ

Hinein leg' ich gar manches,
Doch sag' ich noch nicht, was;
Der Sarg muß sein noch größer,
Wie's Heidelberger Faß.
 
 その中にいろんなものを詰め込むのだ
 だが何を入れるのかはまだ言うまい
 棺桶はもっと大きくなくてはいけない
 ハイデルベルクのあの酒樽よりも
 
Und holt eine Totenbahre
Und Bretter fest und dick;
Auch muß sie sein noch länger,
Als wie zu Mainz die Brück'.
 
 それから棺台を持ってきてくれ
 頑丈で厚い板を
 それは、マインツのあの橋よりも
 ずっと長くなくてはならない

Und holt mir auch zwölf Riesen,
Die müssen noch stärker sein
Als wie der starke Christoph
Im Dom zu Köln am Rhein.
 
 そして十二人の巨人も連れてきてくれ
 彼らはライン川の河畔のケルン大聖堂にいる
 あの力持ちのクリストフォロスよりも
 もっと強くなきゃ駄目なんだ

Die sollen den Sarg forttragen
Und senken ins Meer hinab;
Denn solchem großen Sarge
Gebührt ein großes Grab.
 
 彼らに棺桶を運ばせて
 大海に沈めさせるのだ
 こんなに大きな棺桶には
 大きい墓が必要だからさ

Wißt ihr, warum der Sarg wohl
So groß und schwer mag sein?
Ich senkt' auch meine Liebe
Und meinen Schmerz hinein.

 どうしてこの棺桶がこんなにも
 大きくて重たいのか、分かるかい?
 それはぼくの愛と苦しみを
 みんな中に葬ってしまったからさ

ちなみに、ハイデルベルグ城の地下には22万リットルのワイン樽があることで有名です。
あの酒樽というのは、この巨大なワイン樽のことだと。どれだけの大きさの棺桶か!
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全く関係ありませんが、量はともかく、ドイツはビールが美味しいですね(笑)
飲まずにはやってられない!というくらいの勢いであります。


さて、ケルン大聖堂
の聖クリストフォロス。キリストを方に背負った像があります。
彼は、幼子イエスキリストを肩に担いで大河を渡ったことが聖書にかかれていています。
どんな悪天候にも強く、力持ちで、旅の守り人として信仰されています。

そして、マインツは、ライン川とマイン川が交わる河川交通の要所です。
その大河に長くて丈夫な橋がかかっていたのでしょう。

とにかく、この世で想像できる一番大きくて重いものよりももっと、
大きくて思い棺桶をもって、愛と苦しみを葬り、立ち直ろうとしているのです。
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by fujiya-momo | 2012-03-23 02:30 | ベートーヴェンとシューマンの恋

詩人の恋 その6  夢の中のこと

今日は第13番と第14番
夢の中での出来事です。


13. Ich hab' im Traum geweinet ぼくは夢の中で泣いた

Ich hab' im Traum geweinet,
Mir träumte, du lägest im Grab.
Ich wachte auf, und die Träne
Floß noch von der Wange herab.

 ぼくは夢の中で泣いた
 きみが墓に横たわっている夢を見たのだ
 目が覚めたあとも 涙が
 まだ頬をつたっていた

Ich hab' im Traum geweinet,
Mir träumt', du verließest mich.
Ich wachte auf, und ich weinte
Noch lange bitterlich.
 ぼくは夢の中で泣いた、
 きみがぼくから去る夢を見たのだ
 目が覚めたあとも 
 長い間さめざめと泣き続けた

Ich hab' im Traum geweinet,
Mir träumte, du wärst mir noch gut.
Ich wachte auf, und noch immer
Strömt meine Tränenflut.
 ぼくは夢の中で泣いた、
 きみがぼくにまだやさしくしてくれた夢をみた
 目が覚めると 洪水のように
 ぼくはとめどなく涙を流し続けた。

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14.Allnächtlich im Traume seh' ich dich 夜毎の夢に

Allnächtlich im Traume seh' ich dich
Und sehe dich freundlich grüßen,
Und laut aufweinend stürz' ich mich
Zu deinen süßen Füßen.
 夜毎の夢できみに会い
 きみはやさしくぼくに挨拶する
 するとぼくは大声で泣きながら
 きみのかわいい足元に崩れるのだ

Du siehest mich an wehmütiglich,
Und schüttelst das blonde Köpfchen;
Aus deinen Augen schleichen sich
Die Perlentränentröpfchen.
 きみは悲しげにぼくを見つめ
 ブロンドのかわいい頭を横に振る
 するときみの瞳からぽろりとこぼれる
 真珠のような涙のしずくが

Du sagst mir heimlich ein leises Wort,
Und gibst mir den Strauß von Cypressen.
Ich wache auf, und der Strauß ist fort,
Und's Wort hab' ich vergessen.
 きみはぼくにこっそりと何かをささやきかけ
 サイプレス(糸杉)のリースをくれた
 目が覚めると、そのリースは消え
 何の言葉かもすべて忘れてしまった

糸杉のリースは、死を意味するものです。ドイツのお墓参りにいくと
クリスマスの時には、糸杉でお墓は飾られています。
夢の中とはいえ、彼女がくれたものが、糸杉のリースだったので、ぞっとします
だけど、目が覚めたらそのリースも何をささやかれたのかも忘れてしまっていました。。。
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by fujiya-momo | 2012-03-22 06:03 | ベートーヴェンとシューマンの恋

詩人の恋 CoffeeBreak ハイネとシューマンの恋愛観

あまりに失恋の主題が続いてしまったので、気持ちがどーんと重くなりました。
すこし、気分転換に、シューマンとハイネの背景についてご紹介します。

歌曲集「詩人の恋」ができたのは1840年。
この年は、シューマンにとって歌曲の年といわれています。
この年に限っては膨大の数の歌曲を残し、そのなかの傑作がこの「詩人の恋」です。
それまでのシューマンは、ピアニストへの道を挫折した後、ピアノ曲を多く書いて
いましたが、なぜこの年に急に歌曲をたくさん書いたのか。
それは、クララと結婚が成就した年だから。
クララは、ピアノの先生の娘で、シューマンよりもずいぶんと年下ということもあり
結婚への反対と困難が多い中、すべてを乗り越え、やっと「成就」できたのです。
この年に書かれた歌曲は、シューマンにとって
「すべては花嫁への愛と献身のあかし」なのでした。


そして、ハイネについても、面白い解説がありましたのでご紹介します。
 
 ハイネが自分の詩について語ったこんな言葉がある。
 「すべてはおなじ主題のささやかなヴァリエーションにすぎない」
 クララへの愛のはけ口を歌曲の中に見出した歌の年のシューマンにも
 この言葉はそのままあてはまっただろう。

 しかし、ハイネの「おなじ主題」はシューマンの場合とは対照的に、
 伯父ザロモン・ハイネの娘(つまりいとこ)のアマーリエに対する
 不幸な恋愛体験であった。
  ザロモンはハンブルグに住んだ富裕な商人で、ハイネに学資を
 与えたのも彼であった。しかし、彼は正業につこうともしない甥・ハイネを
 自分の娘婿にしようなどとは思ってなかったし、
 アマーリエ自身も、いとこのハイネの心に深い傷跡を残したまま、
 1821年にある地主と結婚してしまった。
 この愛の破局がいわばハイネの詩魂の覚醒者となり、それとともに彼の詩を
 自虐と怨恨に満ちた、苦いイロニーで彩ることになる。

                   引用:Leaderより1991年 西野茂雄

花嫁への愛のあかしとして作った歌曲と、不幸な恋愛体験をもとに
書きためたハイネの詩。このように、二人の「それぞれの主題」が、
この傑作「詩人の恋」の根底にあります。


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by fujiya-momo | 2012-03-21 15:00 | ベートーヴェンとシューマンの恋

詩人の恋 その5  ある若者が恋をして

(変更したのが飛んでしまって、しばらく対訳だけの表示になっていました。
失礼しました)

今日は第11番と第12番です。まだ失恋の主題は続きます。

11.Ein Jüngling liebt ein Mädchen, ある若者が娘に恋し

Ein Jüngling liebt ein Mädchen,
Die hat einen andern erwählt;
Der andre liebt eine andre,
Und hat sich mit dieser vermählt.

 「ある若者が娘に恋したが
 その娘は別の男を選んだ
 その別の男はまた別の娘を愛し
 結婚してしまった

Das Mädchen nimmt aus Ärger
Den ersten besten Mann,
Der ihr in den Weg gelaufen;
Der Jüngling ist übel dran.

 ふられた娘は腹立ちまぎれに
 道であったゆきずりの男と
 見さかいもなく結ばれてしまった
 はじめのあの若者のなんと惨めなことよ」

Es ist eine alte Geschichte,
Doch bleibt sie immer neu;
Und wem sie just passieret,
Dem bricht das Herz entzwei.

 これはむかし話だが
 いつの世だって同じことだ
 こんなことがわが身に起こったら
 ひどく胸が張り裂けてしまう

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前半2節は昔のたとえ話。それを引用して、
これはよくあることなんだ
自分だけが辛いわけじゃないと
自分自身で擁護しているようにみえます。


12.Am leuchtenden Sommermorgen 輝く夏の朝に

Am leuchtenden Sommermorgen
Geh' ich im Garten herum.
Es flüstern und sprechen die Blumen,
Ich aber wandle stumm.

 輝く夏の朝に
 ぼくは庭をさまよい歩く
 花々はそっとささやきかける
 しかしぼくは黙々と歩いた

Es flüstern und sprechen die Blumen,
Und schaun mitleidig mich an;
"Sei unsrer Schwester nicht böse,
Du trauriger, blasser Mann!"

 花々がそっとささやきかける。
 そして気の毒そうにぼくを見つめる
 「私たちのお姉さんを怒らないでね
 かわいそうな蒼ざめたお方!」

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絶望の淵をさまよいながら、庭をふらふらと歩いています。
顔は青ざめて、目の前は真っ暗。美しい景色も花も目に入ることもなく。
ささやくこの花々の「お姉さん」はもちろん彼女のこと。

そうして、ふと顔をあげてみると、そこにはまばゆいばかりの夏の陽ざし。
シューマンのピアノの音で表現される太陽のきらめきが、
絶望の姿に濃い影を落とし、対比が強調されているのです。

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by fujiya-momo | 2012-03-21 00:21 | ベートーヴェンとシューマンの恋

詩人の恋 その4

ただいまハインリヒハイネ「詩人の恋」の詩を連載中です。
今日は、第7曲~第10曲、今日からごらんの方は是非前からどうぞ。

詩人の恋はそれぞれが主題で、物語にはなっていないものなのですが
ついついその気になってしまうのが常
前回の第6番
マリア様に彼女の姿を重ねるのは、
幸せすぎて美しい聖母マリアすら彼女に見えるのか
失恋の痛みから救いを求めにきたのに、マリア様が彼女に見えてしまうのか
曲の感じもどちらにも取れます。

愛する若者は実に盲目であり、不安定であります。

今日は、第7曲~第10曲
めくるめく愛の世界から一変、失恋の痛手の暗いせつない曲が続きます。

7.Ich grolle nicht, Und wenn das Herz auch bricht 
  恨みはしない、たとえ心臓が張り裂けようとも

Ich grolle nicht, Und wenn das Herz auch bricht, 
Ewig verlor'nes Lieb! Ich grolle nicht. 
Wie du auch strahlst in Diamantenpracht,  
Es fällt kein Strahl in deines Herzens Nacht. 

ぼくは恨みはしない たとえこの心臓が張り裂けようとも
永遠にぼくのもとを離れてしまった人よ! 恨みはしない
たとえ君が豪華なダイアモンドをまとい輝こうとも
きみの心の闇の中には、いかなる光も射してはこない

Das weiß ich längst. Ich sah dich ja im Traume,
Und sah sie Nacht in deines Herzens Raume,  
Und sah die Schlang', die dir am Herzen frißt,
Ich sah , mein Lieb, wie sehr du elend bist.  

それをぼくは前から知っていた、ぼくは夢で君をみたのだ
君の心の中にひそむ闇を見たのだ
君の心に食らいつく大蛇の姿を見たのだ
そしてぼくは見たんだ、愛する人よ、君の惨めな姿を

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8.Und wüßten's die Blumen  花が分かってくれるなら

Und wüßten's die Blumen, die kleinen,  
Wie tief verwundet mein Herz,
Sie würden mit mir weinen,    
Zu heilen meinen Schmerz.         

花が、小さな花が分かってくれたなら
このぼくがどんなに深く傷ついているかを
花はぼくのために泣いてくれるだろう
そしてぼくの悲しみを癒してくれるだろう

Und wüßten's Nachtigallen,  
Wie ich so traurig und krank, 
Sie ließen fröhlich ershallen  
Erquickenden Gesang. 

ぼくがどんなに悲しみや苦しみに病んでることを
ナイチンゲールが分かってくれるなら
ナイチンゲールは楽しげに歌って
ぼくの心を元気づけ、慰めてくれるだろう

Und wüßten's sie mein Wehe,  
Die goldenen Sternelein, 
Sie kämen aus ihrer Höhe,
Und sprächen Trost mir ein. 

金色に輝く小さな星たちよ
ぼくの悲しみが分かってくれるなら
高い空から降りてきて
ぼくに慰めの言葉をかけてくれるだろう

Sie alle können's nicht wissen,  
Nur eine kennt meinen Schmerz;  
Sie hat ja selbst zerrissen,
Zerrissen mir das Herz.  

しかし本当は誰にも分からない
ぼくの苦しみを知っているのはただ一人だけ
その人が、その人こそが
ぼくの心をずたずたに引き裂いたんだから
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ここでまた、花や、ナイチンゲールがでてきます
どこかで聞いたフレーズ、そう第2番の詩にも
自分の涙が花となり、自分のため息がナイチンゲールの合唱となって
彼女に届けるのだといっていました。
同じものの対比が、こうも違う側面をみせるとは・・・
しかも、彼が相談するのはいつも自然です。
人間の友達はいないの?と思うくらい、恋愛においては孤独を極めています。

それはハイネの恋愛の実体験がそう感じされるものだったようです。

9.Das ist ein Flöten und Geigen, あれはフルートにヴァイオリン

Das ist ein Flöten und Geigen,
Trompeten schmettern darein,
Da tanzt wohl den Hochzeitsreigen
Die Herzallerliebste mein.

 あれはフルートにヴァイオリン、
 トランペットも高らかに響いている。
 その結婚式の輪舞で踊っているのは
 ぼくのいとしい人

Das ist ein Klingen und Dröhnen,
Ein Pauken und ein Schalmei'n,
Dazwischen schluchzen und stöhnen
Die lieblichen Engelein.
 
 高く鳴り響き、低く轟くのは
 ティンパニとラッパ
 その中でむせび、すすり泣いているのは
 かわいらしい天使たち。

Schalmei'n シャオメイとは、日本でいうチャルメラのようなラッパです
太鼓は響くはチャルメラは鳴るは、歌詞だけみていると
まるで楽しい場面のようです。なぜ天使が泣いているのか、わからないと思います
彼は、酒場のような舞踏場にいます。
自分はこんなに思い悩んでいるのに
彼女は前で踊りに興じている。
目の前で彼女が楽しんでいるこのワルツ曲が、まるで自分をあざわらうかのように
軽快に繰り返される。耳をふさぎたくなる、まさに発狂寸前の思いなのです。

シューマンは、ピアノで同じフレーズを何度も何度も繰り返し、
彼がいらだっているこのヴァイオリンなどの音を表現しています。
それに着目して聴いていると、こちらまでだんだんいらいらしてくるようです

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10.Hör' ich das Liedchen klingen, むかしあの人の歌った歌

Hör' ich das Liedchen klingen,
Das einst die Liebste sang,
So will mir die Brust zerspringen
Von wildem Schmerzensdrang.

 むかしあの人が歌ってくれた
 歌が聞こえてくると
 はげしい苦痛にひしがれて
 胸が張り砕けそうになる
 
Es treibt mich ein dunkles Sehnen
Hinauf zur Waldeshöh',
Dort löst sich auf in Tränen
Mein übergroßes Weh.
 
 暗くつらい(彼女への)憧れに追われて
 森の高い所へと上ってきた
 そこでぼくのあまりにも大きすぎる悲しみは
 涙となってあふれ出た


ドイツの森はシュバルツバルト、「黒い森」といわれるほど深く暗いもの。
あまりに恋愛の挫折の痛みが大きすぎて
その森から抜け出して一番高い丘にあがってみる。
あがってみて広がる景色に、ただとめどなく涙がこぼれる。
日本でいえば、海に走って行き、太陽に向かって!という気分でしょうか。

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by fujiya-momo | 2012-03-20 00:55 | ベートーヴェンとシューマンの恋

詩人の恋 その3

今日は第4番~第6番 です。
ため息がでるほどの、甘いハイネの恋の世界に
どんどん入っていきます。

ハインリヒ・ハイネ 「詩人の恋」 
4. Wenn ich in deine Augen seh’ ( 君の瞳を見つめると)

Wenn ich in deine Augen seh’
So schwindet all’ mein Leid und Weh
Doch wenn ich küße deinen Mund,
So werd’ ich ganz und gar gesund.

Wenn ich mich lehn’ an deine Brust,
Kommt’s über mich wie Himmelslust
Doch wenn du sprichst: ich liebe dich!
So muß ich weinen bitterlich.

君の瞳を見つめると
ぼくの悩みも苦しみも みんな消えてなくなる
まして 君の口に口づけをしたら
ぼくの心の傷はすっかり癒え元気になる

君の胸にもたれると
天国のような心地よさに包まれ
まして 君が「あなたを愛してます!」と言ってくれたなら、
僕はさめざめと泣いてしまう
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最後の小節にある「bitterlich」~さめざめと泣く
静かに声をあげずに涙がこぼれる様です。
愛してますなんていわれたら、嬉しすぎて好きすぎて
感極まって泣けてくるという感じです。

5. Ich will meine Seele tauchen  僕の心を

Ich will meine Seele tauchen   僕の心を
In den Kelch der Lilie hinein;   百合の萼(うてな)の中にひたそう
Die Lilie soll klingend hauchen 百合は吐息にのせて響かせるだろう
Ein Lied von der Liebsten mein. ぼくの愛する人を讃える歌を

Das Lied soll schauern und beben
                  その歌は身震いして、心を揺り動かすだろう
Wie der Kuß von ihrem Mund,   彼女がそっとぼくにしてくれた
Den sie mir einst gegeben      素晴らしく甘美なひとときの
In wunderbar süßer Stund’.     あの口づけのように
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6. Im Rhein, im heiligen Strome  ライン川 この聖なる流れ
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Im Rhein, im heiligen Strome,  
Da spiegelt sich in den
Well’n Mit seinem großen Dome
Das große, heil’ge Köln.       

Im Dom da steht ein Bildnis,
Auf goldnem Leder gemalt
In meines Lebens Wildnis
Hat’s freundlich hineingestrahlt.

Es schweben Blumen und Eng’lein  
Um unsre liebe Frau
Die Augen, die Lippen, die Wänglein,
Die gleichen der Liebsten genau

ライン川 聖なる流れの
波間に影を映しているのは
偉大な大聖堂のある
大いなる 聖都ケルン

その聖堂の中には 金泥で描かれた
一枚の肖像がある
僕のすさんだ人生に
その像が優しい光を投じてくれた

(その像は)花と天使たちに囲まれた
聖母マリア
その瞳、その唇、そのいとしい頬は
私の愛する人にそっくりだ

金泥とは、金箔を膠に溶かした絵具状のもので、像や壁画の金色の部分は
この金泥で書かれています。この場合は羊皮の紙に書かれたマリア像のようです。
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by fujiya-momo | 2012-03-19 00:54 | ベートーヴェンとシューマンの恋

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